我々はなんで猫を飼うのでしょう。
今日は少々デリケートな話題に抵触するので、先にいくらかこの記事の意図のご説明を。
「本編はよ」と思う方はお手数ですがスーッとスクロールしてください。
多頭飼育の話に入る前に……
別にね、ここでは多頭飼育の良し悪しを述べたい訳じゃないってことを言っておきます。
事情はある。皆にある。
だから多頭飼育が良いとか悪いとか、それは問題にしたくないです。
あとは猫の出所にも言及したくないのです。
(出所という言葉が乱暴だと思うなら、出生と脳内変換お願いします)
ペットショップだろうが、ブリーダーだろうが、保護猫だろうが、
1匹だろうが10匹だろうが、それぞれが責任を持てば、それでいいと思っています。
だって、この記事を読むあなたの側には、
もうすでに猫さん、いるのでしょう?
私は口を出したくないのです。
その猫さんにケチをつけたくないし、みんな安心して暮らしてほしい。
純血じゃないから劣っているとか、ペットショップは酷いとか、野良猫は云々とか、
その議論は別の機会に。
家庭のあり方だって統一した価値観は持てないでしょう?
単身者だったり、小さな子がいたり、喧嘩が絶えない家かもしれない。
仲良しで安定した家庭かもしれない。
それぞれ色々な家庭に縁あって来た猫さん。
その猫さんと一緒に暮らす。
少しでも善く暮らすにはどうしたらいいか、当人が考え行動する。
それでいいと思っています。
お金持ちで、ご両親が揃っていて、立派な方で、愛情が掛かっていれば
人間の子は100%幸せになると決まっています?
そりゃ、確率は上がりますよ。所謂“しあわせの定義”に近くなる。
定義ってなんだろってことが問題でしょ? 模範から外れると不幸せなんでしょうか。
我々は人間で、相手は猫。そもそも【家族】と法では認められない存在。
それでも猫を飼う我々は、彼らを家族と考えずにいられない。
だから、なぜ猫を飼うのか?
その答えは、自分さえしっかり考えればいいんじゃないでしょうか。
少なくとも、自分のそばにいる存在を不幸せにしたい人はいないでしょう。
今日はただ“複数の猫が同じ家に住むということ”を考えたいのです。
何にせよ、知識はあって困らない。
という考えがこの記事の根底にあるとお知らせします。
間違っても、一時のテンションで次々に猫を増やしてはいけない。
これは断言できます。衝動買いをするのは無機物だけにしましょう。
もしも勢いで増やしたのなら、その命には最後まで責任を持ちましょうね。
※保護猫活動などは今回のお話に含まれません。
活動外の一般家庭における終生飼育についてのみ焦点を当てています。
はい、重い話おしまい!
楽しい話がいい。ふざけた話はいくらでもしたいのです。
つか、導入が長かったし……これだけ別記事にしてもよくね?
とも思ったけどね、多少触れるならと……結局全部書いちゃいました。
じゃあ、本編行きましょうね。
猫は一匹で飼うとカワイソウなの? 猫が寂しいは多頭飼育の理由になり得るか。
結論からいうと、
全然可哀想じゃないんで、安心してください。
猫は犬と違い、群れのリーダーやボスといったものに従うことを快しとしません。
むしろ、
「一匹だとかわいそー。お友達がいたら幸せだね☆」
的なテンションで下調べなしに自分の縄張りに猫が増えることは単純にストレスになる可能性があります。
……例えがあっているかわからんのですが、具体的に話します。
まったりしあわせに過ごしているお爺ちゃん(オス猫12才)がいるとします。
そこに、縁もゆかりもない小学生男児(オス猫、生後4~5ヶ月)が引っ越してきました。
こども「おい、じーちゃん! 追いかけっこしようぜ!」
こども「退屈だし、力比べしよーぜ! 暇だろ、つきあってよ!」
こども「じーちゃん食べるの遅いな! 僕が食ってやるよ!」
こども「ねえねえ! なんで遊ばないの? ねえってば!!!」
……これ、毎日されたらキツくないっすか?
そりゃ、空間が確保されてて、庭付き一戸建てなら私も我慢します。
まったりできる場所があればいいですし、構いたくないときは逃げますわ。
でも、ワンルームとかだったら無理じゃね?
寂しさとか吹き飛んで、むしろストレスだよね?
「うっさいわ!!!!ガキんちょ!!!」シャー!!!
ってなるでしょう?
そんで、極めつけでやっちゃいけないのが、
飼い主「こら! いじめないで! 可哀想でしょ?」
とか……年長が怒られるパターン。
可哀想なのはじーちゃんでしょ? 一人で快適だったのに。
上記は極端な話でしたが、
二匹以上を飼育する場合の上手くいかない例をまとめると↓
・子ども同士でなく、年の離れた猫の場合の同居は負荷がある。
・おとな同士の場合、一生仲良くならない猫達もいる。
ただし、一緒にいてもストレスを感じない距離間を保つことは可能。
・性別が違う猫同士の場合、メスがオスを嫌うと結構長引くという。
子猫が退屈そうにしていたらおもちゃを与えたり、しっかり運動させる。
キャットタワーで外を見れるようにするなど、ストレス解消させればいい。
別に、猫に猫の相手をさせなくても良いと思います。
ただ、相性が良かった子猫同士は転げまわって遊ぶので健康面でもいい影響はあります。
注意したいのは、猫同士は急に関係性が悪化する可能性もあること。
これを忘れてはいけないのです。
猫の転嫁行動って知っていますか? 仲良し猫達に走る亀裂の一因。
転嫁行動とは読んで字のごとく。
猫が他要因で怯え怒った事象を、そばにいる猫を原因と捉え転嫁してしまう現象です。
例えば、野良猫が喧嘩腰で窓の近くまで来たときに、
明らかに、室内猫の視点から見て怖い相手は外の野良猫なのにも関わらず、
たまたま近くにいた同居猫に怒りの対象を向けてしまうという構図。
しかも、いくら猫同士の仲が良くても関係なく起こり得るのが怖いところ。
これは猫の行動学上、生存するために自分の安全確保を最優先する本能がそうさせます。
では危険が去ったら、忘れてくれるのか?
残念ながら、関係が振出しに戻ることもあり得るのだそうです。
嫌な事=同居猫のせい
と思い込んだら、無理をしてはいけません。
飼い主さんは焦らないでください。
もしかしたら、一時的なものかもしれない。なので、一度部屋を離し数日様子を見る。
様子を見てもまるで敵のように振る舞うなら、出会いからやり直せばいいのです。
もとは仲の良かった猫同士。生来の相性は悪くないはずです。
まずはネコたちの安全確保を最優先にじっくりいきましょう。
どうしても仲良くなれない猫もいる。絶対仲良くなる保証はないと肝に銘じる
人間には愛想がよく、いつでもゴロゴロ甘えん坊。
性格もいいし、猫動画などを見せても楽しそうに興味津々。
だから、もう一匹いたらもっと楽しいはず!
ところがいざ引き合わせたら、新入りを威嚇ばかり!
全然仲良くなれない。
これはよくあるケースだと思います。
人間に対し優しい=どんな猫にも優しいとはいかないのです。
その猫さんにとって、飼い主さんは親も同然。
愛情をかけてもらって、遊んでもらって、空腹になる心配もない。
こんな素敵な相手を、ポッと突然湧いた新入りに取られるかも?
「冗談じゃない! この人間は自分の! 出てけ!!!!」
いきなりは受け入れがたいのです。だからこそ、新入り猫さんの受け入れは慎重に。
元々多頭飼育していたところにもう一匹増えるのと、
いままでひとりっこで飼い主の愛情を独り占めしていた猫のもとにもう一匹増えるのは
全然違う状況だということも頭に入れておいた方が良いと思います。
飼い主を他の猫と共有していた猫達とは違い、
幼少から飼い主の愛情を独り占めしていた猫は、ほぼ拗ねます。
その「拗ねた」状態から、「まあ、コイツがいても良いか」
となるかどうか。
キチンとした教科書通りの順序を踏んでも、「いてもいい」と思えない個体がいる。
では、いざそうなった場合飼育スペースは?
仲良くなれない猫を複数かかえ、それぞれに相応の生活を与えられるのか?
きちんと部屋を分ける。無理に動線を共有させない居住の準備はできているか。
そこを考えずに「仲良くなるに決まっている」とするのはあまりに手前勝手でしょう。
仲良くなれないなら、仲良くなくてもいい。
猫さんがピリピリしている時こそ、我々はおおらかに構えたいものです。
猫がお互いストレスを感じない距離感とは
猫のパーソナルスペース(?)は2m程度と言われています。
一緒にいてもストレスを感じない距離というのは
2m以上離れていて、逃げ道が確保されている、見通しの良い快適な居場所
をお互いに確保できているということです。
2mは直線距離であり、猫を中心とした真球だと考えてください。
なので、トイレや飲食のたびにお互いの脇をすり抜ける動線計画ならば、
常に2匹の間には緊張が走っているのかもしれません。
出会いは慎重にするに越したことはない。新入り猫の受け入れ方。
さて、とはいったものの猫が仲良く過ごすのが理想ではある訳で。
ここで順序を確認します。
①先住猫が最優先。普段の縄張りは極力動かさないまま、新入り受け入れ準備をする。
②新入り猫は初めてくる場所に緊張と不安しかない。初日は落ち着いて過ごせるよう先住と会わせない。
③このまま数日すると、お互い存在していることはもうわかっています。タオルやおもちゃを移動させ、
徐々に匂いに慣れさせます。これも数日かけます。
④ものに威嚇することがなければ、新入りをキャリーかケージにいれ、先住猫のスペースのそばに持っていきます。
そしてキャリーを置いたら、すぐにそこを離れ、先住猫に声掛けをします。
この時絶対やってはいけないのは新入りを抱っこして連れて行くことです。
先住猫からみて、嫉妬されそうな行動はしない方が良いです。
⑤お互い敵意がなければ、数分~数十分の面会とします。ケージから出してはいけません。
どちらかに敵意があれば、すぐに新入りはもとの部屋に戻します。
⑥敵意がなくなるまで、またお互いに慣れるまで何日かかけて面会させます。
⑦解放
私はこの方法が良いんじゃないかと思います。猫同士の安全も担保できますし。
Q.いきなり会わせても全然大丈夫だったよ。心配しすぎじゃない?
A.大丈夫だったなら良かったじゃないですか。
問題は大丈夫じゃなかった時ですよ。
いくら爪を切っていても、彼らはネコ科の動物ですからね。
人間じゃないんで、言葉で落ち着かせるのは不可能ですし。
マジ喧嘩したときに手を出すと本気で噛まれますし、人間にも感染する病気だってありますよ。
猫ひっかき病とか。ほとんどの猫が持ってる常在菌みたいなものなので確実に防ぐ手立てはないです……
猫同士が怪我をするのも避けたいですよね。
まだまだ語り足りない多頭飼育のあれやこれ。
今回は多頭飼育ということで、まあ記事が長くなっていくんですよねぇ。
多頭飼育と一口に言っても、2匹なの? 3匹なの? それ以上なの?
ってことや、現状飼育頭数の平均ってどの程度なの?って統計的なことも言及したい。
それに……
お前はどうだったんだよっていうね。
偉そうに、この記事書いてる筆者の成功・失敗の実績も全然話が出来てませーん。
そのあたりは後篇に回します。
みなさんのウチの猫さん、何匹ですか?
我々、ストレスフルな人間関係抱えて生きていますし、
家の中では癒やされたいなと思うのは我儘ではないでしょう。
猫さん共々、穏やかに過ごせていますように。
ではまた!